気がつけばもう今年も終わりだ
今年は何もしてないわけではない(と思う)のでその点は自分を褒めたいけど、振り返って反省点を挙げるならとにかく活動時間の短さだと思う
周りの博士課程の人たちが毎日朝から夕方まで社会人のように研究してて、(自分もそんなに研究したら毎月論文書けるわ!)なんて思ったりしてたけど、流石にそろそろ態度を改めた方がいい気がしてきた😰
何となく研究に充てる時間を増やせばそれに反比例して効率が下がりそうで甘えていたけど、多分今の活動時間を2倍にしても何も効率は変わらない
というか現状が0*(効率)=0でやばい
最近電車に乗っている間などにMarkov過程とそれにまつわる不等式まわりの本↓を読んでたので、それについて軽くまとめようと思う
link.springer.com
毎回軽くと言いつつ少し長文になってる気がするので、今回は本当に適当&フォーマルにまとめる
Markov過程の詳しい定義は省略するとして、Markov過程に対応して次のような演算子が考えられる: 各時刻と適当な実数値関数に対して
引数のはそれなりに広いクラスを取れるので、Markov過程の挙動をMarkov semigroup を通して考えることができる
Markov過程といえばMarkov性、すなわち時刻での変化がそれ以前の時刻での状態に依存しないという性質を持つので、Markov semigroupの時刻での瞬間的な変化、すなわち微分に注目したくなる
そこで次のような演算子、infinitesimal generatorが考えられる
例えば有名なMarkov過程としてOrnstein-Uhlenbeck過程を考えてみると、これは確率微分方程式
実は、の固有ベクトルはHermite多項式によって与えられることが知られている:
さらには (は標準正規分布)の正規直交基底なので、関数は
そもそもinfinitesimal generator はMarkov semigroup の時間微分だったことを思い出すと、という関係式が得られる
以上のことから、でに収束することがわかるが、これはMarkov過程がで平衡状態に収束している様子の現れと言える
より厳密に収束の様子を調べると、
今までの議論はinfinitesimal generatorが空間の正規直交基底で固有分解できれば同様のことが言える
具体的には、に対応する固有値をと書けば
ちなみにとなるのはが成り立つことによる
なお、一般的に「分布がPoincaré不等式を満たす」といえばDirichlet form
からはテイラー展開より
逆にからは等式を利用することでが示される
いずれにせよMarkov過程における均衡への収束スピードを評価した式になっており、これは機械学習の分野でもMarkov Chain Monte Carloや確率的勾配降下法のLangevin dynamics的解釈などMarkov過程の収束スピードを知りたくなる場面は多いので、シンプルでありながら有用な不等式になっている
Ornstein-Uhlenbeck過程の場合をもう一度考えてみると、部分積分より
同様のことが上の正規分布に対しても言える
(Poincaré inequality for the Gaussian measure) を上の標準正規分布とするとき、任意の(適当な)関数に対して以下が成り立つ:
この式にはもはやOrnstein-Uhlenbeck過程が登場していないことに注目したい
このように、Markov過程の均衡への収束率を調べることによって、同時に定常分布についての不等式が得られることが度々ある(自分の興味はどちらかというとこっち)